目次
震えるフェラーリ純正キーホルダー ドキドキのテスタロッサとの再会
「果報は寝て待て」は誰が言ったか知らないが、まさにその通りだと思った。
ジタバタしても始まらないし、「人事を尽くして天命を待つ」も似たような意味だが、
今の俺にはフェラーリのオートローンが降りる事が「果報」と「天命」という訳だ。
ドキドキのオートローン審査待ち
小学校の校長先生に、卒業記念に色紙をいただいて、今でも大事にとってあるのだが、
それには「明るい性格と寛大な心を生かして、何事にも積極的に取り組め、そして、持っている能力を奮い起こして進んで物事に立ち向かえ、必ずやれる」と書いてある。
校長先生、俺はやります。進んでフェラーリを買います。見ててください!
結構プラス思考な俺の原点は、もしかしたらこの校長先生からのメッセージにあるのかもしれないと思った。
「テスタロッサどうなった?」とは、久しぶりに会った兄の声。
「いや〜、それがローンの審査待ちなんだよね。」
「そっか〜、通るといいな。」
「ありがとう、今度ばかりは親父の威光が通用しないからね、果報は寝て待てだね(笑)」
いい歳こいた大人が親の威光を気にしているところが、周りから見たら駄目駄目なんだろうけど、
今の俺にはそんな事はどうでも良かった。ただ、無事にローンの審査が通る様に祈るばかりだった。
オートローン無事審査終了
「○○様でしょうか?□□信販です。この度のオートローンお申し込み誠にありがとうございました。
弊社にて審査を行いましたところ、○○様のフェラーリ購入資金としての融資をお手伝いさせていただく事になりました。お支払い回数ですが・・・」
やったぜベイビー!これでテスタロッサは俺のものだ!校長先生、俺はやりましたよ!」
これから月々12万円、男の60回ローンが始まるが、そんなものは、これから始まるフェラーリとの生活を考えたら屁でもないぜ!
後は、おっちゃんがテスタロッサを運んで来るのを待つだけだ。
納車の前に、名著「そのフェラーリください」を読み返して、ドキドキの再会に備えようと思った。
テスタロッサとのドキドキの再会
「○○君?おっちゃんだけど(とは決して言ってない)、ローンが無事に通ったらしいね、おめでとう!これで君も晴れてフェラーリオーナーって訳だ。
テスタロッサをよろしく頼むよ。手がかかる奴だけど、買って絶対に後悔しないからね〜」
「絶対に」という部分が少し引っかかったが、何事も積極的に取り込む事が大事なんだから、まあ、聞かなかった事にしようと思った。
おっちゃんは、納車の日を今度の晴れた日という漠然とした予定で伝えて来た。
そうだよな、雨の日はやめた方がいいよな、汚れるし。うん、待てよ、それだけかな?
他に何か理由はないかな?まさか、雨の日はエンジンがかからないとかじゃないよな?
人間、待ちの状態が長いと、物事を悪い方悪い方へと考えてしまう習性があるそうだ。
国産車なら、そんな心配は要らないんだろうが・・・。
幸い週間天気予報は晴れが続いているので、今週中には納車が実現しそうだ。
いよいよ、俺のフェラーリテスタロッサと再会出来る。小学校の遠足の前夜みたいにドキドキが止まらない。
震えるキーホルダー
「○○君、おっちゃんだけど、今からテスタロッサを届けに行くから待っててよ。大丈夫かな?」
「はい!準備OKです!よろしくお願いします」
おっちゃんから電話がかかってから、俺は、ソワソワ、ドキドキ、ソワソワ、ドキドキの連続で、いても立ってもいられなく、
ただ、聞き耳を立てて、あのフェラーリテスタロッサの爆音が聞こえるのを玄関先でじっと待っていた。
ドドドド、ドドドド、ドドドド、なんか地響きみたいな音が遠くから聞こえた。
その音は、次第に大きくなり、ガルン、ガルン、ガルン、と音色を変えて近ずいて来た。
グワン、グワン、グワン、とF1エンジンの様な爆音が響き、そちらの方へ目をやると、
赤くぺったんこで両サイドにスリットが入った、紛れもないフェラーリテスタロッサが居た!
「○○君、お待たせ!走っているのは初めて見たんだっけ?音がうるさいから早朝、深夜はご近所迷惑にならんようにね〜(笑)」
「いや〜、凄いです!音もだけど、このスタイルがなんとも言えない美しさです!NSXには悪いけど、フェラーリは別格ですね〜。
音は言われる通り、確かに昼間にしか乗れませんね(笑)」
「はい、これがキーね。スペアはないから、悪いけど自分で作ってね。キーホルダーは純正のだからそのまま使っていいよ。」
「ありがとうございます!」
憧れのスーパーカーであるフェラーリのキーと純正のキーホルダーを手にした俺は、なぜか持つ手が震えていた。
なんて事はない、ただのキーとキーホルダーなんだけど、跳ね馬のデザインがあるだけでこんなにも違うのだろうか?
それとも、エンツオ・フェラーリの情念がこのちっぽけなアイテムに宿っているとでも言うのだろうか?
その答えをこれから俺は自分で見つける事が出来るのであろうか?
第1部完
読者の皆様、突然ですが、ここでフェラーリテスタロッサに関する話は一旦終わります。
フェラーリを手にした後の苦労話(?)は後ほどお届けしますね。
次回からは、別の話題で記事を書いて行きますので、これからもお付き合いよろしくお願いいたします。
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